JBVP一般社団法人 日本臨床獣医学フォーラム
Japanese Board of Veterinary Practitioners

犬の病気食物アレルギー

原因

市販のペットフードなどに含まれる種々の物質に対するアレルギー反応で起こる皮膚の痒みあるいは下痢が食物アレルギーで、食事の中に含まれる成分としては蛋白(たとえば牛肉、鶏肉、豚肉、魚、馬肉、卵、大豆など)、炭水化物(小麦、トウモロコシ、オートミールなど)、着色料、味つけ、防腐剤のような添加物すべてが考えられる。

症状

発症は1歳齢未満から3歳齢までに集中し、ラブラドール・レトリーバー、コッカースパニエル、ゴールデン・レトリバー、ジャーマンシェパードなどに比較的多くみられる。かゆみまたは下痢が主な症状である。まれにてんかん様の発作がみられる場合もある。である。しばしば食物アレルギーによって痒みが出る場所は耳である。したがって、再発する外耳炎がみられる場合には、食事の検討もよく行われる。痒みは問題の初めから非季節性であり、慢性的に徐々に悪化してくる。かゆみが発現するその他の身体部位としては、肢端、鼠径、腋窩部、顔、前胸部がある。

治療

治療に先立ち食物アレルギーという診断を確定する必要がある。まず犬に低アレルギー性の食事を食べさせてみる。低アレルギー食の調製は、犬が一度も食べたことがない蛋白と炭水化物で行う。この場合市販のフードは、たとえ低アレルギーと書いてあっても絶対に使用しない。犬用として最もよいと思われる低アレルギー食は、油や調味料を使わずに家庭内で炒めラム肉とポテトの1:1の混合であり、かゆみまたは病変がこのような食事で消失したならば食物アレルギーと考えられる。多くの犬では比較的早くかゆみが消失するが、一部のものはかなり長くかかって痒みが消失する場合もあるので、痒みが消えるまで最大10週間はがまんして観察する必要がある。さらに以前に与えていた食事を再開して、1週間のうちにかゆみまたは病変が再発すれば因果関係が決定的に証明される。なお、低アレルギー食試験の期間中、犬の口に入れてよいものは、家庭調理の食事と水だけである。チュワブルのビタミンミネラル製剤も、人間用の食事も、チュワブルのトリーツも、チュワブルのフィラリア予防薬も与えてはならない。そして次に低アレルギー食に、1種類ずつの新しい食品を加え、大丈夫な食品やフードを探して行く。痒みの出る食品はリストアップして永久に使わない。このようにして、アレルギー反応を起こさせる成分を含んでいない市販のフードを探し出すことが可能である。