JBVP一般社団法人 日本臨床獣医学フォーラム
Japanese Board of Veterinary Practitioners

猫の病気回虫症

子猫で多くみられる寄生虫病で、猫回虫が原因です。多数が寄生すると嘔吐や下痢、あるいは出血もみられることはありますが、あまり重大な症状は出さないようです。ときおり、吐いたものの中に5-10cmほどの白いそうめんのような線形の虫をみることがありますが、これがたいてい回虫です。これもたまたま吐いたら虫が出てきたということも多く、虫がいるからといって必ずしも吐く原因にはなりません。腸の中に寄生すると、成虫は卵を産み、便の中に卵が出ます。野良猫などがいつもきまった所で便をすると、土の中に卵が産み落とされて、その卵の中で感染可能な子虫が数週かかって育ち、その後かなり長い間生きています。したがってこのような場所が感染源になり、普通は猫から猫へ直接移るわけではありません。また卵を食べたネズミなどの小型動物を猫が食べて感染することもあります。しかし母子間の感染で重要なのが、ミルクを介した感染です。成猫では、腸の中に感染しないで、体の組織内に子虫が長い間とどまる形の感染があります。そして妊娠すると体の抵抗力が落ちるためか、虫が活動を開始してミルクの中にでてきます。すると子猫はすぐに虫をもらってしまうことになります。回虫の卵は便の検査で簡単に発見できるので、みつかったら駆虫薬を病院で出してもらい、比較的簡単に駆虫ができます。症状を出さない猫も多いので、定期的に便の検査を受けるのがベストでしょう。