JBVP一般社団法人 日本臨床獣医学フォーラム
Japanese Board of Veterinary Practitioners

猫の病気骨折

猫では交通事故や高所からの落下で骨折がみられることもまれではありません。症状としては四肢の骨折の場合、体重を折れた脚にのせることができないため、歩行がおかしくなりまう。折れた部分の周囲では痛みや腫れも激しくなります。また関節が異常な曲がり方をしたり、逆に曲がることもあります。あるいは激しい骨折では、骨が皮膚を破って突き出ることもあります。救急処置の目的は、さらにけがが激しくなることを予防し、痛みを抑え、出血があれば止めることです。ここで重要なことは、骨折を元に戻そうとしたり、傷をきれいにしようとしないことです。できるだけ動かさないようにするのがベストです。まず動物を動かないようにします。痛みのため咬もうとすることもあるので注意してください。タオルでそっと包むのがよいでしょう。落下や交通事故では、四肢の骨折以外にも脊椎(背骨)の骨折も予想されます。したがってできるだけ動かさないようにしてください。このためには病院への輸送の間、しっかりした板や厚めの段ボールの上にのせ、頭部、背骨、四肢が動かないように固定します。出血があれば圧迫包帯で止めますが、大出血のところで述べた心臓に近いところを締める止血帯は使用しないでください。大出血のためショックが起こることもあるので十分気をつけてください。外に傷がある場合には、清潔なガーゼをかぶせるだけにしてください。四肢だけの骨折の場合、副木を当てることもできます。これは骨折部にまず大きな脱脂綿を巻いてパッドにして、その回りにしっかりした段ボールなどをあてがい、上から包帯やテープで巻くものです。通常の骨折の症状に加え、意識の障害、耳からの出血や透明な液体の流出、嘔吐、眼の瞳孔の大きさが左右不対称などがあると、頭部の障害も予想されます。そのときは、やはり動かさないことを基本に、すぐに病院に行ってください。