肛門の左右下方には1対の肛門嚢という袋があって、この内容物が排便時に便と一緒に出て、便のにおい付けの役目をしている。ふつうは排便時に内容物は全部出てしまうが、ここに大量の分泌物がたまり、細菌感染や炎症が激しくなると、袋に穴があいたり、悪臭の原因になったり、あるいは皮膚のかゆみの原因になったりする。
お尻を気にして地面にこする、尾を噛むなど肛門部を気にする症状に加え、悪臭がする、悪臭のする液体をとばす、肛門の周囲に穴があいて膿がでている、あるいはアトピーのように皮膚をかゆがる場合も肛門嚢に内容物がたまっていないかしぼってみる。
予防としては定期的に肛門嚢をしぼるのがよい。病院で身体検査の際に獣医師がしぼる方法を習えば家庭でも行える。皮膚に穴があいたり膿が出ている場合には、抗生物質治療や消毒が必要であるが、雄犬では肛門周囲腺の腫瘍、雌犬では肛門嚢の癌も疑われるので、慎重な診断が必要になる。