免疫が自分の皮膚を攻撃するために起こる自己免疫疾患で、犬では落葉状天疱瘡が最も多く尋常性天疱瘡がそれに続く。発症は4-5歳に多く、秋田犬、ドーベルマン、ニューファンドランド、ダックスフントに多い。
落葉状天疱瘡では鼻、耳介などにかさぶたとふけを中心とした病変がみられることが多いが、これはかなり古くなった病変で、最初は紅斑ができ、つぎに膿疱となり、膿疱がすぐに破れて、痂皮をつくるようになり、このようにかさぶたの多い病変となる。眼周囲、腹部やフットパッドにも病変は作られる。尋常性天疱瘡では口腔内、眼周囲など皮膚と粘膜の境界部に水疱ができ、それがすぐに破れて潰瘍となる。どちらの場合も二次的な細菌感染が起こりより激しい病変となる。
まず抗生物質療法で細菌感染を治療し、生検により診断を行う。診断が確定したら、ステロイド、免疫抑制剤による治療を長期間行う。犬ではこの他、全身性エリテマトーデス、円板状エリテマトーデス、類天疱瘡などの自己免疫疾患がまれにみられるが、治療はほとんど同じである。徐々に薬用量を下げていくが、再発がみられる場合も多い。