JBVP一般社団法人 日本臨床獣医学フォーラム
Japanese Board of Veterinary Practitioners

犬の病気回虫症

原因

体長10cm前後の、先端がとがった紐のような白い虫の犬回虫が原因で、母親から子犬に感染する。母犬の体内では、妊娠中に回虫が活発となり、子犬は出生前に、あるいは母乳を通じて感染する。出生前に感染したものは2週齢には成虫となり、便の中に卵が出る。また幼犬の消化管内に回虫の幼虫が入ると胃をつきぬけて肝臓、肺へ移行することもある。咳によって出た幼虫がまた飲み込まれて消化管内に入り、ここで成虫となって卵を出すというようにサイクルが繰り返される。

症状

多数の回虫が消化管内にいれば下痢、嘔吐、体重増加遅延など、胃腸障害の激しい症状がみられる。また肺に寄生すると咳などがみられる。激しい寄生では虚弱となる。

治療および予防

子犬には必ず回虫がいるものと考え、駆虫は必ず行った方がよい。新しい子犬の場合、8週齢までに2回は駆虫を行っておく。その後6カ月齢と1歳齢というように年2回糞便検査を行い、必要に応じて駆虫を行う。

公衆衛生

人間の子供が卵を口から摂取すると、回虫の幼虫が体内を移行して、まれに眼などに達すると危険な病気を起こすことがあるので、要注意。したがって、犬と遊んだ後には、外から帰った時や食事の前と同様、手を洗う習慣を教えるべきである。子犬の便、妊娠中の母親の便は厳重に処理して子供の手に触れないようにする。ただし出たばかりの便の中にある卵はすぐに人間に感染できるものではない。少し時間がたったものが危険。また子犬や妊娠中の犬と幼児の接触は避けた方がよい。