伝染性気管気管支炎と呼ばれるこの病気は、単一の病原体によるものではなく、いくつものウイルス、細菌などが複合して病気を起こしている。中でも重要なのがボルデテラと呼ばれる細菌で、それにジステンパーウイルス、アデノ1型、2型、イヌパラインフルエンザウイルスも関係している。イヌパラインフルエンザウイルスは非常に弱いウイルスで、アデノ1型は犬伝染性肝炎ウイルスと同様である。しかしながら、これらのウイルスは飛沫中に含まれて空気中を飛ぶために感染力は強く、犬の呼吸器系に感染する。しかしながら致死的な感染になることは少ない。
発作性の咳が特徴であるが、その程度や発熱の有無は様々である。上記のウイルスは気管支のかなり奥の方に感染するが、細菌感染などが複合して、呼吸器系の広範囲が冒される。症状発現から通常は1週以内に免疫ができて回復する。しかしその後も、気管の部分を圧迫したりするとせき込むことがよくある。
ウイルスを殺す治療法はないため、対症療法・補助療法が行われるが、細菌の関与も十分考えられているので広い範囲に効果のある抗生物質が通常使われる。
7種混合ワクチンの中に組み込まれているアデノウイルス2型ワクチンおよびパラインフルエンザウイルスワクチンでかなりのものが予防可能。同時に7種混合を使用すれば、ケンネルコッフの原因としても考えられている犬伝染性肝炎ウイルスとジステンパーウイルスに対する予防も可能。