JBVP 日本臨床獣医学フォーラム

日本臨床獣医学フォーラム

お問い合わせプライバシーポリシー

 
JBVPについて 年次大会 地区大会 獣医師向け レクチャーシリーズ 動物看護師向け ご家族向け WJVF
ご家族向け 犬の病気
動物との暮らしを考えるフォーラム
犬の病気
猫の病気
泌尿器・生殖器の病気
子宮蓄膿症
【原因】
子宮内の細菌感染による膿の貯留であるが,原因には卵巣からのホルモン,それに支配される子宮の変化が関係している.細菌の増殖の結果,子宮のみならず,重大な全身の病気となる.

【症状】
発情が終わってから陰部から分泌物が出ることも出ないこともある.また多飲多尿,元気消失,食欲減退もみられることがある.子宮が大型化して,腹部が大きくなることもある.細菌の毒素が全身に回ったり,あるいは子宮が破れると,激しい全身の病気となり,生命に危険がある.

【治療】
X線検査で大型になった子宮がみられたら,診断が確定する.ベストの治療法は手術による子宮卵巣の摘出である.あわせて抗生物質,輸液療法も行う.別の治療法としてプロスタグランジンF2αという薬物で手術なしに治療できることも知られているが,比較的状態がよく(あまり症状が切迫していない),将来繁殖をしたいと言う場合だけにすすめられるので,獣医師による判断が必要である.この治療法ではもちろん再発の危険性は残る.
PageTop

腎不全
【原因】
様々な原因で急に尿を作れなくなったために体の中に老廃物がたまり,全身の病気となるものが急性腎不全で,原因としては大量の出血や心臓の病気などで,腎臓に血液が行かなくなった場合,感染や中毒で腎臓自体が急に壊されたり炎症が起こった場合,腎臓より後ろの尿の通り道がつまったり,交通事故などで膀胱が破裂して,尿を体外に出せなくなった場合がある.犬で比較的多い中毒の原因としては自動車用の不凍液(エチレングリコール)をなめてしまった場合である.また感染症としては夏の終わりから秋にかけて静岡県などの山中で感染するレプトスピラ,膀胱炎から腎臓に細菌感染が波及する腎盂(じんう)腎炎がある.また急性腎不全はそのまま長期化して慢性腎不全につながることも多い.慢性腎不全は原因は何であれ,腎臓の破壊が治らないものになって,機能の3/4が失われてしまった状態である.

【症状】
急激に元気食欲がなくなり嘔吐が起こる.尿が出なくなるのが特徴であるが,腎不全の時期によっては多く尿が出ることもあるので,必ずしも無尿だけが特徴的ではない.検査では腎臓が動いていないという証拠のほかに,原因によっては心臓や血液の問題,あるいは腎臓より後ろの尿路閉塞などの問題が明らかになることがある.慢性腎不全は多飲多尿,貧血,やせる,被毛がつやを失うなどが特徴で,これに加えて慢性の食欲不振,嘔吐などが加わる.

【治療】
急性腎不全では,腎臓が機能を回復するように原因を除き,点滴を続けることが治療の主体である.急性の段階では腎臓の破壊は永続的ではなく,徐々に回復することが多いが,もちろん腎臓や全身への障害がきわめて強ければ死亡することもある.慢性腎不全では点滴と正しい栄養補給,貧血の治療などが主体であるが,本来治るものではないので,進行を遅らせることだけが目的である.慢性腎不全で尿が作られなくなるともはや回復は望めない.また老犬で心臓病を一緒に持っているものなどでは,輸液療法も難しく,非常に治療が困難になる.中年以降の犬では定期的に健康診断を行って,尿検査で比重が1.030をいつも下回っていたら,他の検査でひっかからなくとも,腎臓病が進んでいるものと考えて,良質の蛋白を適切な量含み,リンなどを制限した食事療法を行うのがよい.
PageTop

膀胱炎
【原因】
犬では細菌感染によるものが多い.膀胱の中がただれたり,あるいは膀胱壁が厚くなって弾力がなくなる.また尿中の結晶や結石に引き続き起こるものもある.

【症状】
頻尿(何回も少量ずつ),排尿困難(したいのに出ない),排尿の最後に血尿を出す,尿が濁る,尿が悪臭を放つなどがある.発熱や元気消失などはなく,もしみられるなら膀胱炎が腎臓にまで波及して腎盂(じんう)腎炎となっていることを疑う必要がある.

【治療】
抗生物質で治療するが,どんな細菌が感染しているのか,尿を培養して細菌を分離する必要もある.治療は数週間から数カ月の長期間行わないと再発も多い.結石の場合には食事療法で結石を溶解したり,予防したりすることも必要で,もちろん大きなものが障害の原因になっているのなら,手術で取り除く.
PageTop

前立腺炎
【原因】
雄の尿道の上部に前立腺という器官があり,肥大したり,細菌感染が起こることもある.さらに前立腺の癌も知られている.前立腺炎は細菌感染のために炎症が起こり腫れるものである.膿がたまって膿瘍(のうよう)となるものも多い.

【症状】
尿とは無関係に尿道から分泌物,膿などがでることがある.また腫れた前立腺による妨害で,排尿や排便が困難になることもある.腹部を押すと痛がり,発熱,元気消失もみられる.

【治療】
前立腺マッサージで前立腺からの液をとり,細菌感染と炎症について調べ,さらにレントゲンやエコー検査で腫れた前立腺を診断する.中に膿がたまったような袋がみられた場合には前立腺膿瘍が疑われるが,その他癌や良性の過形成も考えられるので,尿の検査や,生検などで確認する.細菌が原因の場合には抗生物質で治療を行う.ただし再発しやすく,膿瘍を作っている場合には口から飲んだ抗生物質はその中に到達しにくいので手術も必要になることがある.去勢は再発防止に効果がある.
PageTop

肛門嚢炎
【原因】
肛門の左右下方には1対の肛門嚢という袋があって,この内容物が排便時に便と一緒に出て,便のにおい付けの役目をしている.ふつうは排便時に内容物は全部出てしまうが,ここに大量の分泌物がたまり,細菌感染や炎症が激しくなると,袋に穴があいたり,悪臭の原因になったり,あるいは皮膚のかゆみの原因になったりする.

【症状】
お尻を気にして地面にこする,尾を噛むなど肛門部を気にする症状に加え,悪臭がする,悪臭のする液体をとばす,肛門の周囲に穴があいて膿がでている,あるいはアトピーのように皮膚をかゆがる場合も肛門嚢に内容物がたまっていないかしぼってみる.

【治療】
予防としては定期的に肛門嚢をしぼるのがよい.病院で身体検査の際に獣医師がしぼる方法を習えば家庭でも行える.皮膚に穴があいたり膿が出ている場合には,抗生物質治療や消毒が必要であるが,雄犬では肛門周囲腺の腫瘍,雌犬では肛門嚢の癌も疑われるので,慎重な診断が必要になる.
PageTop
─
PRINT